気がつくと、真っ暗だった目の前が
真っ白になっていた。
よく見ると天井のようだった。
僕は起きようとした。

「うっ...気持ち悪い...」

自力で上がりかけた僕の頭が再び枕へ落ちる。
...枕?
周りを視界が許す範囲でよく見てみると
どうやら病院のようだった。
さっきまでのことがよく思い出せない。
僕は今日なにをしていたんだっけ?
おぼろげな記憶を辿りながら頭で考えてみた

「たしか、今日はヒナとデートにいく予定で...」



人々が大通りのなか行き交う。
忙しげにカツカツ歩いてく者、時折携帯をみながら立ち止まるもの。さまざま人がいる。

僕らは2人で歩いていた。
今日は朝から2人でデートなのだ。
しかも...初デート...
僕は隣を歩いている彼女_ヒナの方をチラ見した。
ヒナはおひさまのような笑顔でこっちを見返す。
僕は慌てて顔をそらした。

容姿端麗。純真無垢。
非の打ち所のない人というのはこの人の事か。
と思うほどいい子だ。
ヒナは僕の幼なじみだ。
ドン臭くてどうしようもない僕をヒナは笑って
いつも支えてくれた。
僕が告白したときは、すこし泣きながら
笑って返事をしてくれた。


僕らは映画を見たあと、2人でショッピングモールに来ていた。ヒナの洋服を買ったり、本屋を見たり...
2人でたわいない話をしていた。
あぁ...幸せだ...
僕はこの瞬間を、この幸せを噛み締めていた。