俺は部活の時、爽を探していた。爽に聞けば、莉奈のことが分かるはずだ。
サッカー部の後輩に懐かしい顔を見つけた。いつも顔を反らしている奴が爽だったのか。
「爽!」
俺が名前を呼ぶと、爽は驚いた顔をした。俺の爽の近くに駆け寄る。
「えっ……翔先輩?」
「爽、ちゃんと思い出せたんだよ」
「先輩、本当に……?」
「本当だよ、バーカ」
俺が悪戯っぽく笑うと、爽は涙目になって俺に抱き付いてきた。
「先輩……」
「お前は大事な後輩だよ」
そして、爽は何かに気付いたように離れた。
「西宮のことも思い出したの?」
爽に聞かれて、俺は頷いた。爽は俯いた。
「俺、ちゃんと謝ろうと思うんだ。西宮さんに」
俺がそう言うと、爽は目を見開いて首を横に振る。
「先輩、ダメです。やっとアイツは過去に囚われずに生きれるようになったですから」
まさか、そんなにキッパリと断られるとは思っていなかった。もうすぐで三年も経つから変わることもあるか。
「俺は純粋になった先輩をずっと避けてました。無理に思い出させないように他人のフリをしてました」
「そっか……」
今思えば、見掛けたことがある奴らも俺に気を遣って話し掛けて来なかったんだろうな。
「クラスだけでも教えてほしい。直接行こうとは思わないけど……」
「B組です。俺とまた同じクラスです」
「そっか、ありがとう」
俺が礼を伝えると、爽は恥ずかしそうに下を向いた。
「何で、謝ろうと思うんですか?」
「記憶を思い出した時、とても申し訳ないと思った。目の前で落ちて行く彼女を見たから」
俺がそう言うと、爽は目を見開いて唖然としている。
「先輩が記憶を無くしたのって……」
「自分を責めてたのもそうだけど、俺は目の前で自殺をするところを見たんだ。かなりのショックを受けてたと思うよ」
「えっ……」
「もうすぐ部活だし、話は後でにしよう」
「……はい」
俺は部活に集中した。今日もまたシュートを決めて歓声が上がった。
君は今どこで何をしてる?
俺は早く君に会って話をしたい。
ちゃんと謝りたい。
そして、仲良くなりたいんだ。



