「先生、ありがとうございます」

私は隣に立つ先生を見上げて、満面に微笑むと
先生は黙ったまま、そっぽを向いてしまった

あら?
聞こえなかった?
ま、いいか。

夜景の為に等間隔で設置されてるソファに腰掛ける
チラホラ何組みかのカップルもいた
今度、日野先生と来たい

そう思った心にドスンと真っ黒な汚れた私の罪が
堕ちてくる

そんなこと、思っちゃいけないか

急に悲しくなって私の目に映る夜景がぐにゃぐにゃと
歪んでくる
ヤバい。ここで泣けない。我慢しなきゃ

キュッと唇を噛み締めた


「ひとつ位こんな思い出もあっていいだろ」

ポンポンと頭を撫でる先生の手が今だけは救いになった
私は声を出したら震えそうだったので、
うんと頷くだけにした


そのまま少しの間、私はきらびやかな世界に没頭した