近藤先生の愛車の助手席にお邪魔して、シートに座ると
身体に吸い付くような心地よさが私を包んだ

さすが、ドクターですね。
いい車、乗ってらっしゃいます
私の軽自動車とは雲泥の差だ。当たり前だけど、、、

車内の黒は更に高級感を漂わせた

ハンドルを握る先生とミラー越しに目が合う
一瞬だけなのに、ついドキドキしてしまった自分に驚く

きっと、身体を重ねたせいだ
それまでは気にも止めなかった仕草が今、気が気で
仕方ない

音楽もない空間に時折出すウインカーの音が響く

私は徐々に暗くなる外をボーッと見つめていた


「着いた」

ずっと無言で運転していた先生が車を停めたのは

「こ、ここは?」
「とりあえず、おりて」
「はい」

車をおりた私の目の前にそびえ立つ超高層ビル
一番上は星に手が届きそうな位遥か上
なんだ、ここは
私には似つかわしくない雰囲気にアングリと口を開けた
まま、見上げていた

「置いてくよ」
「あ、先生、ここは?」
「夜景が綺麗だと有名らしい。知らないの?」
「はい」

知るわけがない
こんなすごいとこ、、、一般市民ですからね

エントランスの先にあるエレベーターに、
辺りを気にしながら素早く乗る。
そーか、この人は既婚者だった

気にするなら連れて来なきゃいいのに、、、

最上階についてエレベーターからおりる。
辺り一面ガラス張りで暗いフロアーは夜景の明るさだけで
保たれている

「きれー、、、」

その光景に私は息を飲む
こんなに綺麗な夜景初めてみたかも。