話しながら、心の中でイチくんと出会った時のことを考えた。
最初は急に写真を撮られて、初対面なのになんて失礼な人なんだろうって思った。
だけどね、手を引いてイチくんが走っていく瞬間を、今でも鮮明に思い出すことが出来る。
窓から太陽の光が差し込んでて、学校の廊下がキラキラして見えて。
まるで色のない薄暗かった世界から私を連れ出してくれてるみたいに、スローモーションで浮かび上がってくるんだ。
「……あの日、俺がどうしてみあのこと撮ったか知りたい?」
あの日、それはきっと裏庭で初めて会ったあの日のことを言っているのだろう。
同じことを考えていたことが嬉しくて、意味もなく泣きそうになった。
「みあと出会ったの、実は偶然なんかじゃないんだ」
「どういう意味……?」
あの日会ったのが偶然じゃないのだとしたら、イチくんはもっと前から私のことを知っていたということになる。
思い出しても思い出せないでいると、イチくんはおかしそうに笑って言った。
「俺はこの場所で、ある女の子に出会った。去年の文化祭で展示した夕陽の写真あるだろ?あれ、みあだよ。俺、あの時カメラ越しに見たみあに一目惚れしたんだ」
「……え?」
あの写真の人物が橋本さんだと思っていた私は、驚いて息が止まりそうになった。
「え?でも……え?」と何度も何度も自分の中で自問自答を繰り返す。
そして、やっと早とちりだったと気が付いた後には、一気に顔に熱が集まってきた。

