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「副長はいるか?」


城の正門で王様と別れ、速足で護衛隊の本部まで来た。

「はい。風様」

護衛隊の本部は城の敷地内にある。
二階建ての建物で、外には武術や剣術を練習する場がある。


「生き残った子供たちの様子はどうだった?」

建物の一階にある大広間に副長を呼び、報告を聞く。


「道中ずっと泣いておりましたが、城に着いて老婆様にお願いしてからは落ち着いたみたいです」

「そうか。北国の王が国境を越えて、村に現れたことは聞いたか?」

「はい。国土大臣が許可したと言っていたと…」

「国土大臣が許可を出したとしても、正式な許可書は王様の承認が必要なんだ。完全な不法入国だ」

「そうですよね…」

「隠密からの報告は?」

「それが、まだ…」

「では、明日会議を開く。至急、大臣たちに連絡を…」

「風様!」



今後の指示を出そうとしていた時、一人の護衛兵に呼ばれた。


「…なんだ?」

いつもはイラッとしないのに、今は途中で話を遮られキレ気味に返事をした。

「あ…申し訳ございません」

そんな返事をしてしまったせいか、声を掛けてきた護衛兵が萎縮してしまった。


「いや、いい。で、何だ?」


溜め息をつきながら、聞き返す。



「老婆様が、王様のことで話があるとお見えになっております」


…王様のことで?