「ゆる〜?」
「……あっ、円っ」
名前を呼ばれてハッと我に返ると、円がお弁当を持って、立っていた。
「今日は、ラウンジで食べない?」
ニコッとお弁当を軽く持ち上げながら円がそう言う。
「ラ、ラウンジ?」
あまり馴染みのないカタカナの響きに頭の上にハテナが浮かぶ。
「うん!学校案内がてら、行こ!」
円に手首を掴まれてから、机に置いていた明人さんお手製の弁当を慌てて持ってから、二人で教室を出る。
正直、理事長室と教室、それから寮のつくりしか把握していなかったので、ありがたい。
でもまさか、校舎内で『ラウンジ』なんて言葉を使うなんて。
さすが、お金持ち学校だ。