とりあえず、部屋に戻ってからちゃんとしたベッドで寝ようと、身体を起こそうと動かした瞬間。


「……ダメ」


「……っ?!」


後ろから耳元で囁かれたかと思うと、身体がぎゅっと引き寄せられて、動けなくなってしまった。



「早凪くん?!」


「シッ、みんな起きちゃう」


早凪くんにそう言われ、とっさに自分の口元を手で押さえる。


多分、薄暗い部屋の中で起きているのは、私と早凪くんの2人だけ。


っていうか……早凪くん、全然手を離してくれそうにないし、もしかしてこのまま朝までってこと、ないよね?


寝るならちゃんと自室のベッドで寝たいよ。


「ねぇ、早凪く─────ひっ、」


『離してほしい』
そう頼もうと声をかけた瞬間、お腹のあたりを何かが触れた。


「声、出さないでって言ったよね?」


後ろから囁かれる彼の声がくすぐったくて、身体がいちいち反応してしまう。