『明人さんのケーキ、みんなに作ってくれませんか?』
明人さんの夢を少しでも叶えたいと思ってそう提案したけど、まさか、そんな彼のケーキに、私の名前が入っているなんて。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いしま────」
グイッ
「瑛斗に触らせないで。それから明人とベタベタしすぎ」
瑛斗さんの方に傾いていた身体が、今度は反対に引き寄せられて、腰に早凪くんの腕が触れる。
「ちょ、早凪く────」
「瑛斗とくっついてたらゆるの匂い消えちゃうから。わかるでしょ?瑛斗の香水きついの」
「早凪、本当にお前ってやつは!ゆるちゃんはみんなのゆるちゃんでしょーが!」
瑛斗さんが、早凪くんに言い返すと、早凪くんはプイッとそっぽを向いた。
全く……顔は大人っぽいのに、変なところ子供なんだもんなぁ。
「あー!もー!2人ともそういうのは後で!とりあえず、ゆるちゃんの歓迎も込めて!アキちゃんのケーキ食べよ〜!」
翼くんの明るい声が響いてから、
「うん、そうだね!食べよう食べよう!」
私も合わせてそういう。
「よし、ゆるちゃん。チョコ半分こしよ」
「瑛斗ほんとキラい」
2人の言い合いはまだ続行中の中、
私たちは、フルーツでキラキラしたケーキを頬張った。