クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。






「9時には始業式が始まるから、それまでにゆるちゃんの部屋だけ案内するね。家の細かい案内は学校が終わってからで大丈夫?」


「はい!明人さんすみません、朝って忙しいのに」


「いや、今日は弁当も作らなくていいしね、俺には遠慮とかしなくていいから。あ、ついたついた、ここが、星音学園特別寮」


校舎の外に出て少し歩くと、そう言って明人さんが立ち止まり、私はそのまま顔を上げる。


っ?!


真っ白な3階建の大きな建物。


「うわぁ……これまた豪邸で……。あ、特別寮って?」


「うん、この学校には、大きく分けて2つの寮があってね。1つは校門から見て左にある普通寮、もう1つはここ、校門から見て右にある特別寮。特別寮っていうのは、まぁこの学校で一番リッチな生徒が暮らしてる寮って言ったら簡単かな」


「なるほど……」


お金持ちの学校の中のさらにお金持ちの生徒。
ほんと、なんなんだこの世界。


「すげー世界だよね〜。ついていけない」


そう言ってハハッと笑った明人さん。


こんな建物に暮らす人間に囲まれながら働くなんて不安だったけど、明人さんみたいにわかってくれる人がいたらすごい安心だ。