私に軽くお辞儀をした神部さんと紹介された彼が口を開く。
「ちょっと理事長、そんな言い方はないんじゃないですか?遠いところから朝早くこうして一人で来てるわけですから彼女だって不安でしょう。それに、篠原さんとの関係だって……」
30代くらいに見える神部さんは、優しそうな柔らかい目をしている人で、いわゆる塩顔って言葉がよく似合う顔つきをしている。
「明人くん、部外者は首を突っ込まないでくれ。ほんと、あいつにはずっと迷惑かけられっぱなしで、こっちだって仕方なく─────」
「理事長、彼の娘さんの前でそんなこと!」
「あ、あのっ!すみません、突然こんなことになってしまって。私もまだ戸惑っていて。今の話を聞いてると、理事長と父って、実はあんまり仲は良くないのでしょうか?」
慌てて2人の会話に入って声を出す。
2人の話を聞いていると、私はあまり歓迎されてないよう。
でも、パパの話では理事長とは、学生時代からの友達で昔から良くしてもらってるって、私の住み込みのことも快く了承してくれたって……。



