────コンコン
「どうぞ」
ドアの中から、男の人の声がしてから、私は「失礼します」と言いながらドアを開けると、
まっすぐみた先に、ドアと同じ色をしたデスクがあり、そこに50代くらいの男性がひとり腰掛けていた。
「うん、時間ぴったりだな」
そう言って腕時計を見る感じからして、時間に厳しそうな人で、それに加えて見た目も少し怖そうな人。
この人が理事長さんか……。
「私が学園の理事長、山寺 克樹(やまでら かつき)だ。ゆるさんだね。時間があまりないので手短に言うが、君の身の回りのことは、そこにいる神部 明人(かんべ あきと)くんに見てもらうので、あとは彼から聞くように」
「えっ、」
っ?!
突然話し出したと思った理事長は、まくし立てるかのようにそう言うと、右の壁の方をゆび指した。
っ!!
嘘……。
人、が、いた……。
理事長のことに集中してて人がもう一人いることに全然気が付かなかった。



