「……莉々っ!」


「待って宇垣くん」


慌てて彼女の後を追いかけようとした早凪くんを引き止めたのは、一部始終をソファに座って黙って見ていた円。


「あなたが追いかけないほうがいい」


「……なんで」


「それは、俺も思うな。ゆるちゃんが行ったほうが……」


と円に合わせた瑛斗さんのセリフに驚いてしまう。


なんで……私が莉々ちゃんのことなんか……。


「ゆるは関係ないだろ。莉々のことよく知ってる俺がちゃんと……」


早凪くんの言葉に、また胸にグサッとくる。


さっきまで、まるで早凪くんと恋人にでもなっちゃったんじゃないかって錯覚に陥るぐらいの気持ちだったのに。


今はそれが本当嘘みたい。


夢だったのかな。


莉々ちゃんのことがそんなに大切なら、私にあんなことしなきゃいいのに……。


もしかして、なんて、可能性を感じちゃうようなこと……。