コンコンッ


特別に一泊だけ休みをもらって円のうちでお泊まりした日から一夜明け、1日の仕事を終えて部屋のベッドで休んでいると、


部屋のドアをノックする音がして、返事をする。


「ゆるちゃん、入ってもいい?」


優しくて可愛らしい声。
ドアの向こうにいるのが翼くんであることはすぐにわかった。


ガチャ


「どうしたの、翼くん」


「フフッ」


なにやら嬉しそうに紙袋を持っている翼くんの姿。


一体どうしたんだろう。


「円ちゃんから色々と話を聞いてね」


翼くんがそう話しながら、私の勉強机の椅子に腰掛けた。


「色々って……」


まさか、円が、私の早凪くんへの気持ちを翼くんに話したのかと思って、一気に身体から汗が吹き出る。


「みんなで、花火大会に行こうって話!いや〜俺たちみたいなのはそういうの行ったことないからさ〜!ゆるちゃんが提案してくれたって聞いてめっちゃ嬉しかったよ!」


「あっ、う、うん」


翼くんの様子からして、もしかして、円は私の気持ちまでは話してない?