「そうと決まれば!ほら、ゆる、宇垣くんとしたいこととかないの?行きたいところとか」


「えっ……」


「ライバルがいるときこそ、チャンスじゃん!ね?夏休みなんだしさ!この際あの女のことは置いといて、ゆるの気持ち、教えてよ」


早凪くんと、したいこと、行きたいところ……。
もし、もしも、許されるのならば……。


「花火大会、行きたいかな。ゆ、浴衣、来て。でも、それは、みんなで行きたいっ!」


円とも瑛斗さんや翼くんももちろん。
みんなで浴衣着て、楽しみたい。


仲のいい友達と浴衣を着て出かけるのは、ずっと私の密かな夢だ。


今まで一度もしたことがない。


「浴衣……!いいじゃない!宇垣くんにいつもと違うゆるを見せてドキッとさせちゃおう!ぜっっったい、宇垣くんはゆる以外に渡さないんだから!」


円は得意げにそう言って、ようかんの最後の一口を頬張った。