「なんで、ゆるなのよ……」


ボソッと聞こえた彼女の言葉を、聞き逃さなかった。


「……私はずっと、……宇垣くんが好きで。学校の子たちに比べたら一番近くで宇垣くんのことを見てきたつもり。転入してからずっと宇垣くんとは同じクラスで……。なのに、こんな急に現れた子にっ……」



私の知っている円は今はいない。



私のことをキッと睨んでいる瞳はうっすら潤んでいる気がして。



「ゆるに近づいたのだって、宇垣くんがゆるのことを気に入ってる理由を探るため。友達になりたいなんて思うわけないっ、メイドとしてズカズカ特別寮に上がり込んで、ずるいって思った、だからあの写真を晒した。っ……これでいいですか?」



一気に勢いよく話した円は少し息が荒れていて、その頬は涙で濡れていた。