「ゆるちゃんのおかげだよ〜」



「え、わ、私?!」


突然自分の名前が出てきて驚いて自分を指して目を開く。


「正直、ずっと早凪との絡み方がわからなくて。基本俺が話しても無視だったし。でも、ゆるちゃんきてから、なんか早凪、柔らかくなってんだよ」



「それめっちゃわかる!ほんとゆるちゃん来るまではしょっちゅう俺が空気読んでさ〜」


「そんなに……」



私から見たら、寝てばっかのマイペースでわけのわからないことをいう自由人にみえる早凪くんだけど、前は違ったのかな。


少し、前の早凪くんも見てみたかったかも、なんて思ってる自分もどこかにいて。


「早凪はゆるちゃんの匂いが落ち着くっていってるけど、効果絶大なのかもね」



……スーパーの一番安いただのシャンプーでそんなことを言ってくれるなんて。



「ありがとね、ゆるちゃん」


瑛斗さんはそう言って、私の頭を優しく撫でてくれる。


「いや、私は何も────」


「瑛斗」


頭を撫でられるのが少し恥ずかしくて下を向いていると、早凪くんの声が聞こえて顔を上げる。