「で、早凪が怒ったと」


「そんな、感じです」


明人さんに助けられた後、翼くんの部屋に戻って急いで着替えてからメイクを落として、今は厨房で、明人さんに事の経緯を説明し終えた。


「ほんっとごめんな、ゆるちゃん!最近暴走しすぎだよな、早凪」


「いえ、びっくりはしましたけど……」


明人さんが謝ることではないんだもん。


それに、早凪くんももちろんだけど、特別寮の3人に触れられること、嫌じゃないって心のどこかで思ってる自分がいるんだ。


ちゃんと、向き合ってくれてるって伝わるから。



「ゆるちゃんには、3人に、特に早凪には振り回されて大変な思いさせちゃって悪いなって思ってるんだけど、でも内心、あいつらの楽しそうな姿にホッとしてる自分もいるんだよね」


「楽しそう……?」


「あぁ、前に言ったでしょ。この学校特にこの寮のやつらは他人のやることに興味がないし、空っぽだって。ゆるちゃんがきてまだ数日だけど、全然違うんだ」


3人のことをきっと一番近くで見ている明人さんにそう言われて、正直、嬉しくなってしまう。