「早凪……くん?」


なんて状況なんだ。
男の子に、これでも一応女の子の私が、ベッドに押し倒されているなんて。


身体を預けているベッドからはさらに、早凪くんの匂いがして、妙にドキドキしてしまう。


まるで、全身を彼に包まれているみたいな。


「ゆるにこんなもの必要ない」


「っ、」


細くて白い指先が顔の前へと伸びてきて、私の唇に彼の親指が優しく触れられたと思うと、ほんの少し深めに拭われた。


彼に触れられた唇がすごく熱を持つ。


顔だって、早凪くんの身体と密着してる身体だって、熱い。


バクバクとうるさい心臓は、聞こえてるんじゃないかと思うほど。


「……必要、ないって」


少しムッとしてしまったけど、すぐに、私が悪かったと落ち込む。


瑛斗さんと翼くんに大げさに褒められて、どこか舞い上がっていた。


そりゃそうだ。


庶民の私が、高いブランドものを身にまとったって、いきなり綺麗になるわけなんてない。


なんの魅力もない私がやったところで意味がないんだ。