「ゆるはほんと、何にもわかってない。ちょっと来て」
「えっ、まって、早凪くんっ」
「あー!ちょっと早凪!」
「俺まだゆるちゃんの写真撮ってないのに〜!」
私の声も2人の声も完全に無視して、早凪くんは私の手を掴んで瑛斗さんの部屋を出てから、スタスタと廊下を歩き、隣の部屋のドアを開けた。
「ねぇ、早凪くん、ちょっとっ」
突然の早凪くんの不機嫌な態度と行動に、「落ち着いて」となだめようとするけど、全然かなわなくて止められない。
部屋のドアが、バタンと閉まる音が聞こえると、早凪くんはベッドの前に立ち止まり、私の肩を掴んだ。
その次の瞬間、身体がフワッと浮いて。
一瞬で、全身がふんわりとしたものに包まれ、同時に、端麗な顔がこちらをまっすぐ見ていた。



