「ゆるちゃん、誘ってる?」
「えっ、さ、さそ?」
リップを塗り終わったらしい瑛斗さんが、スティックを閉じる。
誘ってるって、なんのことだ。
「ん。上出来。このままゆるちゃんのこと食べちゃいたいな〜」
瑛斗さんは、頭にはてなを浮かべた私にお構いなしに、私の頭に優しく手を置いて撫でてから、
そのままその手を私の頬に持ってきた。
「ちょっとエイちゃん!そんなこと言ったらまた早凪に怒られ─────」
「俺がなに?」
っ?!
部屋のドアから、無気力ながらもどこか芯のある声がしたので、一斉にそちらに視線を移す。
「早凪くんっ」
ドアの縁に肩を預けながら腕を組んで、こちらを見ている早凪くんの姿に思わずびっくりして声を出す。



