次の日──。

私はドギマギしながら野球部の朝練を遠くからこっそり覗いていた。

ランニングが終わるとペアを組んでキャッチボールを始める野球部員たち。そんな中でひときわ目立つ本田君の姿。

元気なセミの鳴き声と一緒に、ボールがグローブに吸いこまれていく鈍い音がそこら中に響いている。

朝のうちはまだ涼しいからいいけれど、午後からの部活は暑くて大変だよね……。

そんなことを考えながら、遠くにいる本田君を見つめる。

昨日は本田君なりに助けてくれようとしていたのに、ひどいことを言ってしまい、今さらながらに後悔していた。

「あっれー? なにやってんの、亜子ちゃん」

「ひゃあ」

いきなり後ろから肩を叩かれて、飛び上がるほどビックリした。驚きで心臓がバクバクいってる。

ヘラッとしながら目の前に現れたのは高木君だった。

「もう、ビックリするじゃん」

「はは、ごめんごめん。あまりにも夢中で草太を見つめてるからさ」

「む、夢中?」

「あれ? ちがうんだ? 熱い視線を送ってるように見えたけど?」

「な、なに言ってんの! そんなわけないからっ」

「隠さなくていいって」

からかうように笑う高木君が憎たらしい。