本気でかわいいと思ってるって……現在進行形?

いやいや、そんなわけないよ。ほら、あれだ。ペット的な意味で言ってるだけで、そこに特別な意味は存在しないはず。

だけど『本気で』って、どういうことなんだろう。

気になるけど聞けない。恥ずかしすぎて、どうにかなってしまいそう。

「も、もう! 冗談でそんなこと言っちゃダメだよー! かわいいなんて、誰にも言われたことないんだからね! あははっ」

とりあえず笑ってごまかしてみせる。本田君はまっすぐに私の目を見つめていて、余計に恥ずかしかった。

どうか冗談でありますように……。

そう願いながら、胸の鼓動を落ち着かせようと必死。赤くなっているのはバレバレだろうけど、気づいていないふりをして笑い続けた。

「はは、冗談……か」

そう言って傷ついたように笑う本田君。さっきまでの笑顔とは違って、とっても寂しそう。

なんでそんな顔をするの……?

なんだか悪いことをしてしまったようで、胸の奥がギュッと締めつけられて苦しい。

「そ、そうだよ! そんなことは本気で好きな子に言うもんでしょ?」

本田君の目が見れない。だけど口は勝手に動いた。

「じゃ、じゃあ、亜子は用事があるから帰るね! またねー!」

なんだか申し訳なくて、これ以上一緒の空間にいたくなかった。