「全然笑えてないよ」

「……っ」

本田君の言葉はまっすぐすぎる。やっぱり変化球が得意だなんて信じられないよ。

「はぁ。誰のせいでこうなってると思ってるのかな」

黙ったままでいると、南野さんがポツリと嘆いた。誰に言うでもなく、視線を宙にさまよわせながら。

「え、なんだよ、それ。意味わかんねーし」

「私の口からは言えないけど」

「はぁ? どういうことだよ」

「直接柳内さんに聞きなよ」

ムキになる本田君と冷静な南野さん。本田君は明らかにおかしいと思っている。

「柳内さん、今日の放課後時間ある?」

「…………」

「ないって言われても、今日だけは空けてもらうから」

なにも答えていないのに、どうやら断られると思ったのかその発言。高木君もどうやらことの深刻さがわかったのか、さっきまでのテンションではなくなっている。

どうしよう……。

ぐるぐるぐるぐる。

思考がまとまらないまま迎えた掃除の時間。私は今日も中庭の掃除担当だった。この前の黒板消しのことがあるし、できるだけ校舎のほうに近づかないようにしながら掃除をする。

ほうきで校舎周りをはいていると、ザバーッとまるで大雨でも降ってきたかのような大量の水が目の前に落ちた。

「もー、狙い外れてんじゃん」

「ダメだよー、もう少しこっちに寄ってくれなきゃ」

この前と同じ甲高い声。