女子二人と男子二人。男女別で好きな者同士でペアを組み、グループ決めは平等にくじ引きで行われた。

私はたまたま隣にいた南野さんとペアを組むことになり、くじ引きで本田君と高木君の二人と同じグループになった。

「人間のより少し味が薄いだけで、ふつうのおせんべいだよ」

「「「えっ?」」」

そこにいた全員の声がかぶった。

「さ、咲希ちゃん、鹿せんべい食ったことあんの?」

おしとやかでクールビューティーな南野さんから出た言葉だとは思えなかったようで、高木君は信じられないと言いたげな表情を浮かべている。

「まぁね、好奇心旺盛だから」

「マジかー! それは予想してなかったわー! いやー、ナイスキャラ! 俺、咲希ちゃんのことを誤解してたかも。大人しそうに見えて大胆って、俺の一番好きなタイプ!」

「誰も高木君のタイプなんか聞いてないから」

「そして毒舌! ますます俺の好きなタイプだわ」

「私は高木君のようなチャラチャラした人が一番苦手なタイプだけどね」

「あちゃー、嫌われたー」

「嫌われたっていうか、苦手なの。最初から」

「じゃあ、これから仲良くなろうよ」

まったくもって噛み合わない会話。それでも高木君は笑っている。なんだかおかしくて、私も笑ってしまった。

「やっと笑ったな」

本田君が私にしか聞こえないような小さな声でささやく。そして、ホッとしたように頬をゆるめた。