私が悪いのかなって、思ってしまう。

真っ赤になってうつむく本田君。

「俺は──」

本田君がそう言いかけた時、遠くのほうから女子数人が歩いてくるのが見えた。ドクンと心臓が激しく跳ねる。

そこにいたのは沢井さんのグループで、ワイワイ談笑しながらこっちに向かってくる。背筋にヒヤリとなにかが流れた。胸がわしづかみされたみたいにギュッと痛む。

こんなところを見られたらマズい。ヤバい。

「ごめん! 亜子、教室に戻らなきゃ」

「え?」

戸惑う本田君に背を向けて駆け足になる。教室までは、もう目の前だ。後ろのドアから中に入って席に着く。

心臓がありえないほど速く動いて忙しない。

大して疲れてもいないのに、はぁはぁと息が上がっている。さっき沢井さんと目が合ったような気がするのは、気のせいかな。

それにしても……私はなにをやっているんだろう。

本田君が悪いわけじゃないのに、沢井さんの目が気になって関わることを避けてしまう。一緒にいるところを見られたくない。

もうなにも言われたくない。見張られているような気がして怖い。八方塞がりで身動きができない。

どうすれば、いいのかな。