太陽はいつもそんな私を『仕方ないなぁ』という目で、私に合わせようとしてくれていた。きっと太陽なりに努力をしてくれていたんだと思う。

「亜子たち、友達のままでいたほうがよかったのかな……?」

流れゆく雲を見つめながらつぶやいた言葉は、青空の中に溶けて消える。胸がギュッと押し潰されそう。

あの時の私は友達じゃ嫌だった。でも、太陽は友達でいたかった。大きくすれ違ったままの私たちは、結局ダメになってしまった。

「さぁ、わっかんねー。でも亜子はいい奴だと俺が保証する」

「いや、太陽に保証されてもね。嬉しくない」

「なんだとー! 失礼な奴だな」

ふくれっ面の太陽はなんだかすごく子どもみたい。久しぶりに太陽のこんな顔を見たなぁ。

「ぷっ」

「ははっ」

お互いに目を見合わせてクスクスと笑う。不思議。なんでだろう。友達に戻ったような感覚。また笑い合える日がくるなんて思ってもみなかった。

「亜子、もう教室に行くね」

「あ、待てよ。俺も戻るから」

二人で教室のある階まで移動する。授業の合間の休み時間。校舎の中はザワザワと騒がしい。廊下の踊り場でたむろする男子たち。

それまで一緒だった太陽が「じゃあな」と私に言って輪の中に入っていく。太陽に向かって手を振っていると、向かい側から視線を感じた。

「あ、本田君」

体育が終わったあとだからなのか、汗をかいていてさらには髪の毛まで濡れている。