気まずそうに視線をさまよわせる太陽。
別れてから初めて、本音を言えたような気がする。ぎこちないけど、心から笑えたような気がする。
「ううん……亜子にも悪いところはあったんだし」
付き合っていた時のことを思い出すと、気持ちが引き戻されそうになる。どうしても暗くなる。とてもツラかったから。
でも、もう今さらどうにかなることじゃない。過去のことなんだから。
もう……振り返らない。前に進んでいくしかないんだ。
太陽のことしか見えていなかった時は、自分の気持ちを押しつけるばっかりで太陽のことを考えてあげられていなかった。
会いたい時に会いたいってワガママを言って困らせたり、連絡が遅かったり折り返しがなかったりすると、すぐにスネたり不機嫌になったり。
私の気持ちに同じように応えてくれない太陽に対して、怒ったりしたこともある。
きっと太陽は、そんな私と一緒にいることに疲れちゃったんだよね……。
「実は最近まで好きだったの、太陽のことが。別れてからも、ずっと忘れられなかった」
どうしてだろう。伝えたいと思った。きっとこれは前に進むための第一歩。
「でも、もう今は大丈夫だから。安心して」
重く受け取られたくなくて、軽く笑い飛ばした。もう胸が痛むことはない。
それどころか、スッキリしている。
「俺さ……亜子のことは友達として好きで。どうしても、恋愛感情は持てなかったんだよなぁ。友達としては、いい奴なんだけど」
「それ、かなりひどいこと言ってるって気づいてる?」
「あ、わり」
太陽はごまかすように笑う。
「悪いと思ってないでしょ?」
「はは、バレた?」
やっぱり?
いや、まぁ、いいんだけどね、太陽だし。
友達だった時は、常にいつもこんなノリだったよね。
付き合ってからは、こんな感じじゃなくなった。思えばいつも、太陽に気持ちをぶつけていたような気がする。



