一瞬なにを言われたのかわからなかった。
かわいいって、聞き間違いじゃないよね?
目をパチクリさせて、マジマジと本田君の目を見つめる。背が高いから、下から本田君の顔を見上げる形になった。
澄ました表情で平然としている本田君は、もしかすると女子の扱いに慣れている?
だってだって、話したこともない女子に、いきなりかわいいだなんて言わないよね。
クールなイメージだったのに、とっても意外だ。
「ほ、本田君って、女子に『かわいい』とか言うキャラだったんだ……」
恥ずかしがるそぶりもなく平然としているところを見ると、かなり慣れているんじゃないかと思う。
「いや、うん、まぁ……」
本田君はここで初めて気まずそうなそぶりを見せた。バツが悪そうに私から目をそらす。そして、照れを隠すように人差し指で頬をポリポリとかいてみせた。
「こんなこと、柳内さんにしか言わないけど」
「え?」
私にしか言わない?
んっ?
それって、どういう意味?
頭の中がハテナマークでいっぱいになっていく。そして、それは本田君にも伝わっていたんだろう。彼は言葉を続けた。
「柳内さんのこと、本気でかわいいと思ってる」
「……っ」
ビックリして言葉が出ないって、こういうことをいうのかな。



