それから太陽が目を覚ましたのは、授業が終わってチャイムが鳴った時だった。目を閉じていると私までウトウトしてしまって、なんだか頭がボーッとする。

いろいろあって最近寝不足のせいもあるかもしれない。

「で、なにがあったんだよ?」

「はい?」

起きて早々、太陽がアスファルトの上に片肘をついて私のほうに体を向けた。なんの前触れもない突然の質問に、マヌケな声で答える私。

それほどわけがわからなかったけど、さっきのことだと気づくのに時間はかからなかった。

「さっき、嫌なことがあったって言ってたじゃん。ふあぁ……」

興味があるのかないのか、太陽は目を細めて眠たそうにあくびをする。

「べつに。もういいの、大丈夫だから」

話したかったのはさっきであって、今じゃない。時間が経つと怒りはだいぶ落ち着いて、冷静になることができた。

それでも完全に心が晴れたわけじゃないけど、誰かに聞いてもらいたいという気持ちは失せている。

「なんだよ、この俺がせっかく悩み相談に乗ってやろうと思ったのに」

「いやいや、まちがっても太陽にだけは頼らないよ。亜子、結構ショックだったんだからね。太陽に振られたこと」

「え? あ、わり」