こうやって向き合うのは久しぶり。
「太陽もサボり?」
「うん、まぁ。亜子も?」
「まぁ、ね。ちょっと嫌なことがあってさ」
太陽と普通に話せていることにビックリする。前までなら胸が苦しくて仕方なかったのに、今は顔を合わせても気まずさはない。
不思議とドキドキすることもなくて、自分でもよくわからない。
どうしちゃったんだろう、私は。
それよりもさっきの出来事が頭の中にある。
「ふーん、嫌なことね。俺は眠くてさー。ちょっと寝るわ」
「え? あ、うん」
べつに気にしてほしいとは思ってないけど、ちょっとくらいなにがあったのか聞いてくれてもよくない?
聞いてもらったら楽になるのにさ。元彼である太陽にそんなことを求める私が、まちがっているのかな。
別れる時、私といると疲れるって言ってたもんね……。あれはすごくショックだったなぁ。
思い出したら気分がズーンも沈んでいく。
誰かに話を聞いてもらいたい。でもその相手は誰でもいいわけじゃない。だからといって、太陽に話したいわけでもない。
どうしたいのか、自分でもよくわからない。
スースーと寝息を立てている太陽の寝顔を見つめながら、私はただぼんやりしていた。
誰にも会わず、なにも考えずにボーッとしている時間が一番落ち着く。



