三日後、放課後のプールサイドに私はいた。体操服に着替えて裸足になり、準備は万端。
「ほーんと、本田君っていい加減だよねー!」
「仕方ないだろー、俺だってプール掃除の日にちをはっきり知らなかったんだから。つーか、柳内さんだって把握してなかったしな」
デッキブラシを持った本田君が、柄に顎を乗せながらふてくされている。でもなんだか、その横顔はゆるんでいる。
告白されたあとも本田君とは気まずくなることはなく、むしろ前より距離が近くなったかもしれない。
それは不本意だけど、本田君といると着飾らずにすむからとても楽だ。
このまま友達でいられたらいいのに。
ずっと、このままがいいよ。そう、ずっと。なにも変わらなければいい。
「おーい、集合!」
プール掃除担当の先生の声がして、それまでバラバラに集まっていた生徒たちが一箇所に集まった。
全部で十数人ほどで、学年もクラスもバラバラの私たち。同じクラスからは、本田君と私、そして本田君の友達の高木(たかぎ)君がいる。
高木君は茶髪のイケメンで、チャラチャラしていてかなりの遊び人という噂がある。制服を着崩して派手な高木君は、本田君とは正反対なのに、この二人はなぜだかすごく仲がいい。
聞けば中学からの仲なんだとか。



