そんな顔で笑わないでよ。
「ダメじゃ、ないよ……」
あー、私のバカ。本田君に悪いから、期待させるようなことはしないほうがいいのに。
ついつい、負けてしまった。
「よっしゃ」
本田君はガッツポーズをしている。そんなに嬉しそうにされたら、なんとなく恥ずかしい。そして、とても複雑だ。
だって、どんな顔をすればいいの?
本田君の前ではうまく笑えない。笑っちゃいけないような気がする。
「とりあえず、第一関門はクリアだな」
ただの友達だよ?
なにがそんなに嬉しいの?
どうして笑っていられるの?
本田君という人がよくわからない。
だってもし私が本田君の立場なら、振られた時点で落ち込んでしまう。
実際、初めて太陽に告白して振られた時も、かなり落ち込んでしまい、しばらくは立ち直れなかった。
それなのに……。
「本田君のこと……もっとさわやかな人だと思ってたよ」
「さわやか? 俺が? ありえねー!」
お腹を抱えて大笑いする本田君の目は、相変わらずクリクリでかわいらしい。
意外とおしゃべりだし、強引だし、失礼なこともズバズバ言うし、まっすぐだし。
こんな私を好きだと言う。
本田君のことが本当によくわからない。



