気まずくならないようにしてくれているのかな。でもなんだかソワソワしてしまう。
今まで告白なんてされたのは初めてだから。少しだけドキドキしてるのも、こんな状況だから。
「ごめん、なさい、亜子は……誰とも付き合うつもりはないから」
今度は私が深く頭を下げた。本田君の顔は怖くて見れない。自分がどういう顔をしているのかもわからない。
でもきっと、私はすごく困ったような顔をしているんだと思う。
だって、冗談であってほしかった。
本田君が一歩、また一歩と私へ近づく。かなしばりにあったように動けなくて、呆然と立ち尽くしていた。
どうしよう、なんだか気まずい。
お願いだから、なにか言ってよ。
本田君は今、どんな顔をしているんだろう。
気になって恐る恐る顔を上げると、本田君はにっこり微笑んだ。
そして──
「俺、あきらめないよ。絶対に振り向かせてみせるから」
──ドキッ
なに、ドキッて。意味わかんない。ありえない。
それに、本田君はどうしてそんなに自信たっぷりに笑ってるの?
断ったんだよ?
振ったんだよ?
それなのに……。
「まずは友達からってことで、よろしく」
「え、いや、でも……」
「友達もダメとか? それ、かなりキツいんだけど」
そう言って寂しそうに笑う本田君。
そんな顔をされたら、罪悪感が芽生えてしまう。



