「おー、ゆずちゃーん! 大きくなったなぁ、どれ、お兄さんのところにおいでー」
草太に抱かれている私たちの娘のゆずは、今年二歳になったばかり。
ゆずは高木君のことが大好きで、一度顔を見たら帰るまで離れないほど気に入っている。
両手を伸ばしてゆずは高木君の元へ。
「かわいいなぁ、ゆずちゃんは」
きゃっきゃと声を上げ満面の笑みを浮かべるゆず。
「やめろ、俺の娘に」
それを見た草太が面白くなさそうにつぶやいた。
高木君からゆずを奪い返そうとして、ゆずが思いっきり嫌がっている。
「悪いな、パパより俺が好きなんだって」
「くそっ」
「もう、大人げないからやめなって」
クスクス笑いながら草太の腕を掴む。
すると、ギュッと握り返された。
その様子を見ていた高木君がニヤッと笑った。
「しっかし、おまえらはあれだな。結婚して五年経つのに、相変わらずラブラブだな!」
「はは、まぁな。羨ましいだろ?」
「来月だっけ? ふたり目が産まれるの」
「うん、そうだよ。もう臨月に入ったからお腹が苦しくて苦しくて」
そう、私はふたり目妊娠中。
草太と私は大学を卒業してすぐ、二十二歳で結婚した。
最初はうまくいかないことも多くて、喧嘩もたくさんしたけど、今ではゆずも生まれてとても幸せなんだ。