十年後──。
「病めるときも健やかなるときも、お互いを支え合い、共に生きていくことを誓いますか?」
「「はい、誓います」」
純白のウエディングドレスに身を包み、きれいに着飾った親友の姿をマジマジと目に焼きつける。
ハンカチを手に私は、新婦登場からずっと泣きっぱなしだった。
「ううっ……」
「おいおい、泣きすぎだから。ゆずもビックリしてんぞ」
「いいでしょ、お祝いの席なんだからっ。ゆず、嬉しいときは泣いていいんだよ?」
膝の上に大人しく座っているゆずの頭を優しく撫でる。
ゆずは意味がわからないのか、キョトンとしたまま私の目を懸命に見つめてくる。
く、か、かわいい。
目だけはパパ似で本当によかった。
「ま、いいけどさ、はは」
なに笑ってんのよ、と突っ込みを入れたくなったけどやめておく。
挙式が終わって写真撮影に移るタイミングで、少し時間があった。
「おーい、亜子ちゃーん! 草太ー!」
ニコニコしながらやって来たのは、今日の主役である新郎の高木君。
タキシードを着てひときわキラキラ輝いている。
「高木君、今日は本当におめでとう!」
「いやー、照れるよ。マジでさ」
相変わらずニコニコしている高木君は今、エリート銀行マンとして大手の銀行で働いているらしい。