時間が止まるって、きっとこういう時のことをいうんだ。
「わりと前から、柳内さんのことが好きだった」
え……。
「……っ」
なんて言えばいいのかな。いい返事が浮かばない。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
いきなりの衝撃に頭が真っ白で、ただ目をパチクリさせることしかできない。
「一年の時、柳内さんが三上と付き合ってたのも知ってる。別れたことも……」
そう言って本田君は寂しげに微笑んだ。
「だから朝は三上と仲良くしてる姿についイラついて、あんな言い方したんだ。マジで悪かったと思ってる」
申し訳なさそうに眉を下げて、本田君は私から目をそらさない。
「柳内さんを怒らせるつもりはなかったんだ。ほんとにごめん」
やめてよ、そんなに潤んだ目で見ないで。私が悪いみたいじゃん。
それに……。
「こ、困るよ、そんなことを言われても……」
「困るって、俺の気持ちが? それとも、どんなに言われても許せないってこと?」
「そ、それは、亜子もムキになって言い過ぎちゃったし、お互いさまだから……あの、その、本田君の気持ちには応えられないといいますか、いきなりすぎてビックリしてる」
「はは、まぁそりゃ突然だったし。でも、昨日ので察してくれてるかなぁとは思ってたけど」
本田君はどうして笑っていられるんだろう。私に気を遣わせないように?



