「なんだよ、初めてって」
フンと鼻で笑われた。
どうやら、許してくれる気はさらさらないらしい。
「手を繋いだのだって草太が初めてだし、キスだって、旅館でしたのが亜子のファーストキス……だったんだよ」
こんなのすごく恥ずかしくて、言ってて真っ赤になった。今が暗くてほんとよかった。
「キスも、キス以上のことだって、太陽とは一度もしたことないよ……もちろん、手を繋いだこともない。全部……草太が初めて……今、こうやって抱きしめてるのも、そうだよ?」
「え、は、え……?」
草太は目を瞬かせて、信じられないと言いたげな顔をしている。
「亜子が経験豊富だなんて思ってたら、大まちがいなんだからねっ」
最後はわざとらしく頬を膨らませた。そして、まっすぐに草太の目を見つめる。
「それでも、許してくれないの?」
「え、いや、ごめん……そんなの、最初から怒ってません……スネてただけです」
「ふふっ」



