「う……うぅっ……」
草太……。
不安で怖くて、わらにもすがる思いで震える指で画面をタップして電話をかける。
『もしもし……』
するとすぐに草太は電話に出た。
『う、ううっ……草太ぁ……た、助け、助けて』
草太の声を聞いたら涙がブワッと出てきた。
『え? おい、亜子? どうしたんだ?』
電話口で泣く私に、戸惑っているような草太の声。
『今どこにいるんだよ?』
『ううっ……ひっく。そ、草太が前に教えて、くれたとこ……でも、バ、バスがなくて……帰れない、の』
そこまで言ってまた涙が出てきた。
『え、帰れないって? マジかよ。なにやってんだよ』
『ううっ、ご、ごべん……亜子、亜子……っ』
涙でもはや、なにを言ってるのかわからない。
でも、止まらなかった。
『そ、草太のことが……好きぃ……今も……忘れられないの……っ。この、まま会えなくなるなんて、やだぁ……! 遭難して……死にたく、ない、よ……』
『お、おいおい。死ぬわけないだろ。なに言ってんだよ、大げさだな』
『だ、だっで……っ』
寒さで鼻水が出てきた。指先がかじかんで、凍えそう。