あまりにも動揺しすぎて、持っていたスマホを地面に落としてしまった。
「わっ」
カシャンと大きな音を立てたスマホをサッと手で拾い上げた時、メッセージを送った時に鳴る通知音が聞こえた。
「え、ま、待って……もしかして」
慌てて画面を確認すると、メッセージは送られてしまったあとだった。
しかも、送信先はさっきまで文字を打っていた草太に。
「ど、どうしよう……」
会う約束をしたって、会えない……。
だって私は、山を下りられないんだから。
外はすでに薄暗くなっていて、さっきか吹き抜ける風もとても冷たい。
このままここで一夜を過ごすの?
そんなの……絶対にやだよ。
動物とか出て来そうで怖いもん。
それに寒いもん。
途方に暮れてどうしようもなくなり、ジワリと涙が浮かんできた。
──ピコン
そこへメッセージがきて、涙を拭いて画面を見ると草太からだった。
「ううっ……」
そ、草太……助けて。
草太はスタンプだけの返信のみで、そのスタンプは両手を上にあげてマルを作っているスタンプだった。