近くのベンチに座ってぼんやりしながら景色を眺めた。
草太も、あれからここに来たのかな。
そういえば、そんな話はしたことないよね。
付き合い出してから、嫌われないようにするのに必死で、どうやったら好きでい続けてもらえるかって、そんなことばかり考えていたような気がする。
自分の意見を我慢して、朱里ちゃんのことだって、本当は聞きたいのに聞けなくて、草太に対して怒りをぶつけることもできなかった。
それでいいんだと思っていたけど、ちがったんじゃないかなって、今ならそう思える。
嫌われるかもしれないから、黙っていよう、我慢していよう、そうすればうまくいく。
そう思い込んでいた。
だから私は、草太に何ひとつ言いたいことを言えてない。
付き合う前のほうがズバズバなんでも言えてたし……楽しかった。
もう一度あの時のような関係に戻りたいけど、無理だよね。
「はぁ……」
諦めるしかないのかな。
このまま諦められるのかな。
そもそも、草太は朱里ちゃんのことをどう思っているんだろう。



