「あ、あの、本田君のこと、ずっといいなって思ってて……! あたしでよければ、付き合って下さいっ!」

放課後、オレンジ色に染まる教室の前で、ドアに手をかけたまま動けなくなった。

一旦家に帰ったものの、教科書を机の中に忘れたことにさっき気づいて、引き返してきた。

いつもなら戻ってきたりしないのに、来週からテストが始まるので仕方ない。

それより、本田君って言った……?

うちのクラスで、誰が草太に告白してる。

緊張感が一気に漂ってきて、身動きができなくなってしまった。

バクバクと心臓が早鐘を打つ。

冬だというのに動揺してか、汗が吹き出してくる。

「ごめん、俺……きみとは」

「い、一週間だけでいいの! お試しで付き合ってもらうっていうのは、ダメかな? そこで少しでもあたしのこと知ってほしい……お願いしますっ!」

「でも、俺」

「お願いします! 一週間だけ!」

「…………」

「へ、返事は今日じゃなくても大丈夫なんで。ど、土曜日と日曜日にじっくり考えて月曜日に聞かせて下さいっ! じゃあ!」