うんざりした気持ちになりながら、階段を上がる。

全力疾走しているせいか、屋上のドアの前まで来た時には息が上がっていた。

「ふぅ……」

呼吸を整え、屋上のドアに手をかける。

ギィと重い音を立てながら開くドア。

思えばここに来るのは初めてかもしれない。

もうすっかり冷たくなった風がビューッと吹き抜けた。

「ううっ……ツラい、よ」

「泣くなよ、マジで。な?」

風に乗って聞こえてきた声に足が止まる。

これは亜子の声だ。

もうひとりは男の声。

壁に背をつけて、まるで刑事や探偵みたいに、こっそり声がするほうを覗き見る。

すると、そこには顔を覆って泣く亜子と、困ったような表情を浮かべる三上が立っていた。

「ううっ……す、好きなんだよ、太陽……」

「いやいや、俺に言われても……それは、どうしようもないというか」

「わ、わかってる……けど。でも……っ」

なんでこいつらが一緒にいるんだよ?

しかも、三上のことが好きだって……。

なんなんだよ、それ。