この頃毎日のように朱里が俺を待ち伏せしてるけど、なにを言ってもめげないから、正直マジで困ってる。
置いて帰ろうとすると──
『こんな真っ暗なのに、女の子をひとりで置き去りにするの?』
『帰りにあたしになにかあったら、草太君のせいだから』
そんなことを言われて放っておけるほど、俺は薄情じゃない。
なかば強引に脅されながら、駅までの道のりを一緒に帰っている毎日。
朱里は俺に用事があるわけでも、話があるわけでもなく、いまいちなにをしに来てるのかはわからない。
学校であったくだらないことを話しながら、一緒に帰る日々。
俺は朱里のことは嫌いじゃないけど、中学生の時に比べたら扱いにくくなったと思う。
否定することを言ったらすぐ涙目になるし、やたらとベタベタして来ようとする。
ぞんざいに扱うとすぐに怒って文句を言うし、一緒にいてすごく疲れる。
昔はこんな奴じゃなかったのに、引っ越してから変わってしまった。
いや、でも、昔からこんな奴だったのかもしれない。
ただ、俺が見えてなかっただけで、朱里は何一つ変わってないのかも。