お昼休み、前の席に座る亜子の肩を叩いた。

「どうしたの……?」

ぎこちなく振り返って、亜子は小さく首を傾げる。

「なんだか元気なくない?」

「そんなことないよ」

そう言った亜子の顔はこわばっていて、明らかになにかあるってバレバレだ。

それなのに無理して笑顔を作って口角を上げている。

「なんかあるだろ?」

問いつめると、亜子はバツが悪そうに俺から視線を外した。

「なんだか……もう、自信がない」

「え……?」

自信が、ない?

「草太といると苦しいの。だから、ごめん……」

「え? は?」

「とにかく、ごめん」

いやいや、待て待て。

突然そんなことを言われても意味がわからない。

もっと順序立てて話してくれないと、理解することなんてできない。

ごめんって、なにが?

俺といると苦しいって、なんで?

よっぽどわけがわからないと言いたげな顔をしてたんだろう。

亜子が言いにくそうに口を開いた。

「ちょっと、距離置きたい……」

「え?」

距離を置く?

フリーズしかかっている頭で、それを理解するのに数十秒かかった。

「俺、なんかした?」

「ちがう。そういうんじゃなくて……亜子の問題だから、ごめんね」