「付き合ってるっていっても、明日には別れてるかもしれないじゃん。未来のことなんて、誰にもわからないんだし。それに、草太君って昔はあたしのことが好きだったんだよ?」
「……っ」
「告白されたけど、振っちゃったんだ。昔好きだったなら、もう一度好きになってもらえるチャンスはあるわけじゃん? ほら、初恋の相手ってなかなか忘れられないって聞くしね」
知らなかった。
草太が朱里ちゃんに告白してたなんて。
「それに亜子ちゃんとあたしって、なんとなく似てるよね。もしかして草太君が亜子ちゃんを好きになったのは、あたしの代わりだったりしてー!」
胸にドンッと大きな衝撃がやってきた。
明るく笑う朱里ちゃんを直視できない。
心がどんどん沈んでいき、黒い渦の中に飲み込まれる。
「亜子ちゃんだって本気で草太君のことが好きなら、あたしに邪魔されないような努力をしようとするはずだよね?」
「それ、は……」
「でも、なにもせずにただ帰って行くだけ。本気で草太君のことが好きだとは思えないよ?」