「あ、亜子は、草太のことを信じてるもんっ」
ちょっとはモヤモヤするけど、信じたい、草太のこと。
「まぁ、亜子がそう言うならいいけどさ」
「うん、いいのっ!」
なかば無理やり自分に言い聞かせた。
なにか悪いことをしたわけでもないのに、朱里ちゃんと顔を合わせるのが気まずくて、うつむきながら前を通りすぎる。
「亜子ちゃん!」
「え?」
顔を上げると笑顔の朱里ちゃんと目が合い呆然とする。
「バイバイ!」
「え、あ、え……」
「あはは、ボーッとしすぎだよ? バイバイ」
かわいく手を振る姿に戸惑う。
朱里ちゃんはどういうつもりで私に手を振っているんだろう。
色々とわけがわからなくて、でもやっぱり、朱里ちゃんはかわいくて。
なんだかちょっと落ち込んでしまう。
きっと草太のことが好きなんだよね……。
草太も……こうやって毎日会いに来られて、ちょっとは気持ちが揺れたりしないのかな。
信じたいって思っても、気持ちはすぐにグラグラと揺れる。