だけど──。
そんな私の決心を揺るがすかのように、なぜか朱里ちゃんは放課後毎日校門前に現れた。
「うわ、また今日もいるよ」
私の隣を歩いていた咲希が、あからさまに嫌な顔をする。
ほんとだ……。
朱里ちゃんは両手でかわいくカバンを握って、壁に背中を預けるようにして立っている。
きっと今日も草太の部活が終わるのを待っているんだろう。
「なんで毎日毎日……亜子という彼女がいるのに、ほんとなんなの?」
「…………」
ご立腹気味の咲希の隣で、なんだかモヤモヤしている私。
「彼女として、なにか言ったほうがいいよ! じゃなきゃ、これからもずっと来そう」
「う……」
「負けちゃダメだって、ほっとくと大変なことになるかもよ?」
「た、大変なことって?」
「本田君に限ってはないと思いたいけど、心変わりしちゃうとかさ。ほら、男子って案外単純な生き物じゃない?」
「うっ」
咲希の言うことはとってもよくわかる。
でも、だけど、なにをどう言えばいいの?
邪魔しないでとか?
でも、そんなこと私に言う権利なんてあるのかな。
それに、この前草太は心配しないでって言ってくれた。