「うん、いいね。ここにしよう」
朱里ちゃんに会わなかったら、かわいらしいカフェにテンションが上がって、きっともっと心が弾んでドキドキしていたと思う。
なんだかモヤモヤしたまま、メニュー表を前にしてもテンションが上がらない。
「どれにする?」
「えーっと……うーん、これ」
「どれ?」
「モンブラン風クリームと生クリームたっぷりフワフワモフモフしっとり滑らかパンケーキのたっぷりマロン乗せ!」
「はは、すげーネーミングだな。つーか、めっちゃ甘そう」
うへーとあからさまに顔をしかめる草太。
やっぱり甘いものが苦手らしい。
「亜子っぽくてかわいいな、そのパンケーキ」
「うぇ!?」
パンケーキが私っぽくて、か、かわいい……?
「そ、それは、美味しそうって意味?」
「うん、すごく」
「……っ!」
なんてテーブルに肘をつきながら、首を傾けてそんなことを言うのはやめてほしい。
ううっ。
お、美味しそうって、パンケーキのことだよね……?
「あ、すみません」
店員さんが通りかかり、草太がスマートに呼び止めた。