「あ、朱里ちゃん、大丈夫だった?」

「あー、うん……まぁ」

草太は歯切れ悪く言い、はぁとため息を吐いた。

なにか考えこむような深刻な顔をしているから、どんな話をしたのかとても気になる。

聞いてもいいかな?

でも、詮索されたくない人もいるだろうし……。

でもでも、聞くのは彼女の特権だよね?

だって……不安なんだもん。

今この瞬間にも、草太の気持ちが朱里ちゃんに向いてるんじゃないかって。

あれだけ強引だったんだもん、ちょっとくらい気持ちが揺れていても不思議じゃない。

疑うわけじゃない。

もちろん、信じてだっている。

でも自分に自信がなさすぎて、ちょっとしたことですぐに不安になる。

「なんか腹減らない?」

「え?」

「俺、腹減ったかも」

腹、減った?

こんな時に?

しかも、朱里ちゃんのことなんてなかったように、あっけらかんとしている。

「なんか食いに行こっ。待たせたお詫びに、おごるから」

「え、あ、え」

戸惑っていると、ギュッと手を握られた。

そしてベンチから立ち上がらされ、強引に歩かされる。